2026.05.15
約400年受け継がれる「観光鯛網」|春の鞆の浦で出会う、本物の伝統漁法
鞆の浦歳時記
鷗風亭スタッフが綴る、鞆の浦歳時記 Vol.1
こんにちは。ホテル鷗風亭スタッフです。
やわらかな陽気に包まれる頃、鞆の浦の海は一年の中でもひときわ穏やかな表情を見せてくれます。
この季節になると、フロントでは「今年も鯛網の季節ですね」「明日は観光鯛網へ行ってきます」と、お客様との会話が増えてきます。
毎年楽しみに訪れる方もいれば、初めて鞆の浦を訪れ、「本物の漁が見られると聞いて来ました」と期待に胸を膨らませる方もいらっしゃいます。
約400年受け継がれてきた「観光鯛網」は、この時季の鞆の浦を代表する風物詩です。
観光鯛網は、ただ魚を獲る様子を見学するイベントではありません。
潮や風を読みながら、漁師の皆さんが実際に真鯛を追い、網を操る――。
海とともに歩んできた鞆の浦の歴史や文化、そして人々の暮らしを今に伝える、本物の伝統漁法を海の上から間近で体感できる、全国でも珍しい季節限定の特別な体験です。
今回は、この町だからこそ受け継がれてきた「観光鯛網」の魅力をご紹介いたします。
潮待ちの港・鞆の浦だからこそ受け継がれた伝統
鞆の浦は、古くから「潮待ちの港」として栄えた港町です。
帆船で航海をしていた時代、瀬戸内海を行き交う船は、潮の流れが変わるのを待つため、この港へ立ち寄りました。
豊かな海に恵まれた鞆の浦では、真鯛漁も盛んに行われ、その中で受け継がれてきたのが「鯛網」です。
約400年にわたり受け継がれてきたこの伝統漁法は、現在では「観光鯛網」として公開され、福山市無形民俗文化財にも指定されています。
漁師の皆さんをはじめ、地域の人々によって守られてきた鯛網は、単なる漁法ではありません。
海とともに暮らしてきた鞆の浦の歴史や文化、その営みを今に伝える、大切な地域の財産です。
主役は、海を知り尽くした漁師の皆さん
観光鯛網で最も心を惹かれるのは、漁師の皆さんの姿です。
穏やかに見える瀬戸内海でも、その日の潮の流れや風向きによって魚の動きは大きく変わります。
漁師や地元ボランティアの皆さんは海の様子を見極めながら船を操り、仲間と息を合わせて網を広げていきます。
一隻では成り立たない鯛網だからこそ、長年培われた経験と、息の合った連携が欠かせません。
私たちスタッフも毎年観光鯛網を見ていますが、自然を相手に迷いなく船を動かす姿には、何度見ても見入ってしまいます。
観光鯛網は、技を披露するためのショーではなく、海とともに生きてきた人々の営みを、そのまま目の前で感じられる貴重な体験です。
海の上だからこそ味わえる、本物の迫力
船の汽笛が静かな海に響き渡ると、それまで穏やかだった海の空気が少しずつ引き締まっていきます。
数隻の漁船が大きく円を描くように動き始めると、観覧船の上にも自然と緊張感が漂います。
漁師の皆さんの掛け声に合わせて網がゆっくりと海へ広がり、やがて一気に締められていく――。
次の瞬間、水しぶきを上げながら真鯛が勢いよく跳ね上がると、船上から歓声が上がります。
春の日差しを受けて銀色に輝く真鯛、水面に広がる波紋、潮風、船の揺れ。
そのすべてを間近で感じられるのは、実際に海の上へ出る観光鯛網ならではです。
7:30頃|瀬戸内を眺めながら朝食
観光鯛網の日も、慌ただしく過ごす必要はありません。
朝食会場からは穏やかな漁港の景色が広がり、行き交う船を眺めながら、瀬戸内ならではの朝食をゆっくりとお楽しみいただけます。
出発前には、「今日は観光鯛網へ行ってきます。」と笑顔でお声を掛けてくださるお客様も多く、私たちスタッフも「どうぞお気をつけて行ってらっしゃいませ。」とお見送りしています。
ホテルから渡船場までは徒歩約10分。
鞆の浦らしい穏やかな景色を眺めながら歩く約10分も、旅の楽しみのひとつです。
港へ向かう道中も、観光鯛網への期待が少しずつ高まる時間です。
朝の慌ただしさを忘れ、ゆったりとした時間を過ごしてから港へ向かえるのも、鷗風亭にご宿泊いただく魅力の一つです。
遠方からお越しのお客様へ
観光鯛網は、例年4月下旬から5月上旬の限られた期間に開催されています。
受付は午前9時20分頃から始まり、11時頃に観覧船が出航します。
人気のイベントのため、事前のご予約がおすすめです。
ホテル鷗風亭から渡船場までは徒歩約10分と近く、朝食後もゆとりを持ってお出かけいただけます。
また、天候や海の状況によっては内容が変更または中止となる場合がありますので、お出かけ前に最新の開催情報をご確認ください。
観光鯛網の終了後には、ご希望の方を対象に「鞆の浦史跡めぐり」も無料で開催されています。
ボランティアガイドの案内とともに、常夜燈や雁木、町並みなどを巡ることで、潮待ちの港として栄えた鞆の浦の歴史をより深く感じていただけます。
春の鞆の浦でしか出会えない景色
約400年もの間、海とともに歩み続けてきた鞆の浦。
その歴史を今も受け継ぎ、自然と向き合いながら真鯛を追う漁師の皆さんの姿は、この町だからこそ出会える大切な風景です。
海の上に響く掛け声。
潮風に揺れる漁船。
水しぶきを上げて跳ねる真鯛。
その一つひとつが、この季節、この場所でしか見ることのできない特別な瞬間です。
鷗風亭では、これからも「鷗風亭スタッフが綴る、鞆の浦歳時記」を通して、この町に息づく文化や歴史、そして四季折々の魅力をお届けしてまいります。
鞆の浦を訪れた際には、ぜひ観光鯛網を通して、この町に今も息づく海の文化と、人々の営みに触れてみてください。
約400年にわたり受け継がれてきた観光鯛網は、海とともに歩んできた鞆の浦の歴史や文化、人々の営みを今に伝える大切な伝統です。
漁師の皆さんの掛け声、春の光にきらめく瀬戸内海、勢いよく跳ねる真鯛。
その一つひとつが、この季節、この場所だからこそ出会える特別な風景です。
観光鯛網を楽しんだあとは、温泉に浸かりながら瀬戸内海を眺め、その日の思い出をゆっくり振り返る時間も、鷗風亭ならではの楽しみ方です。
春の鞆の浦を訪れる機会がありましたら、ぜひ観光鯛網を通して、この町に息づく海の文化に触れてみてください。
私たちスタッフ一同、皆さまのお越しを心よりお待ちしております。
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