2026.11.01
秋の鞆の浦を彩る「チョウサイ」|太鼓の音と山車が町を巡る伝統の秋祭り
鞆の浦歳時記
鷗風亭スタッフが綴る、鞆の浦歳時記 Vol.4
こんにちは。ホテル鷗風亭スタッフです。
瀬戸内海に面した港町・鞆の浦(とものうら)には、四季折々の美しい風景と、地域の人々が大切に受け継いできた伝統行事があります。
夏の「お手火神事」や初夏の「弁天島花火大会」など、季節ごとにさまざまな表情を見せる鞆の浦。
秋になると、普段は穏やかな町並みが太鼓の音と威勢のよい掛け声に包まれます。
それが、鞆の浦の秋祭り「長歳(チョウサイ)」です。
2026年は9月18日(金)から20日(日)までの3日間、鍛冶町・祇園町を当番町として秋祭りが行われました。
華やかに飾られた山車が町を巡り、子どもから大人まで地域の人々が祭りに参加する姿は、鞆の浦の秋ならではの風景です。
今回は、鞆の浦に受け継がれてきた「チョウサイ」の魅力と、秋祭りの日におすすめしたい町歩きの楽しみ方をご紹介します。
海の神様を祀る、鞆の浦の秋祭り
鞆の浦の秋祭りは、毎年9月頃に行われる、渡守(わたす)神社の例祭です。
渡守神社は、鞆の浦の人々から「祇園さん」と親しまれている沼名前(ぬなくま)神社の境内にあり、海の神様である大綿津見命(おおわたつみのみこと)をお祀りしています。
古くから潮待ちの港として栄え、多くの船が行き交ってきた鞆の浦。
海で働く人々にとって、航海の安全を願うことは、日々の暮らしと深く結びついていました。
その祈りを今に伝える秋祭りは、地元では「おおまつり」とも呼ばれ、3日間にわたって行われます。
祭りの名前として親しまれている「チョウサイ」は、もともと最終日に町を巡る山車(だし)の名前です。
装飾された布団を3枚重ね、その上に太鼓を載せた姿から「布団太鼓」とも呼ばれています。
華やかな山車の巡行とともに、海の安全を願う人々の祈りが今も受け継がれていることも、この秋祭りの大切な一面です。
7年に一度の当番町が迎える特別な秋
鞆の浦の秋祭りでは、古くからの8町が順番に当番を務めています。
江之浦町(えのうらちょう)・西町(にしまち)・道越町(みちごえちょう)・関町(せきちょう)・石井町(いしいちょう)・鍛冶町(かじちょう)・原町(はらちょう)・祇園町(ぎおんちょう)の8町です。
鍛冶町と祇園町は合同で当番を務めるため、8町でありながら、当番が回ってくるのは7年に一度。
町の人々にとっては、長く待ち望んだ特別な年となります。
祭りが近づくと、当番町では山車の準備をはじめ、町を飾る行灯や「作り物」と呼ばれる人形などの制作が進められます。
それぞれの町で工夫を凝らした飾りや山車には、その年ならではの見どころがあり、毎年異なる雰囲気を楽しめるのもチョウサイの魅力です。
普段は静かな路地に祭りの飾りが並び、町の人々が準備を進める姿からは、秋祭りを心待ちにしてきた様子が伝わってきます。
7年に一度の当番を迎え、町ぐるみで準備を重ねる秋祭り。
その舞台裏にも、地域の人々が大切に守り続けてきた鞆の浦の伝統が息づいています。
3日間にわたって賑わう鞆の町
チョウサイの魅力は、最終日の山車の巡行だけではありません。
秋祭りは3日間にわたって行われ、日ごとに異なる行事を楽しむことができます。
【1日目|神輿渡御と明かし物】
初日は、渡守神社から当番町へ神輿をお迎えする「渡御祭」が行われます。
夜には、絵や文字を描いた大きな行灯「明かし物」が町を巡り、祭りの始まりを告げます。
やわらかな灯りに照らされた昔ながらの町並みは、昼間とはまた違った趣があります。
【2日目|当番町で楽しむ御旅所祭】
2日目には、当番町で「御旅所祭(おたびしょさい)」が行われます。
町には趣向を凝らした「作り物」が飾られ、歌や踊りなどの催しも行われます。
町を歩きながらそれぞれの飾りを見て回るのも、秋祭りならではの楽しみ方です。
【3日目|還御祭とチョウサイの巡行】
最終日は、当番町から神社へ神輿が戻る「還御祭(かんぎょさい)」が行われます。
そして、いよいよ祭りのクライマックスとなるチョウサイの巡行が始まります。
太鼓の音と掛け声を響かせながら大きな山車が町を巡り、鞆の浦は祭りの熱気に包まれます。
太鼓と掛け声が響くチョウサイの迫力
「チョウサイじゃぁ! チョウサイじゃ!」
威勢のよい掛け声とともに、華やかに飾られた山車が町を進んでいきます。
山車の上では太鼓が打ち鳴らされ、曳き手たちが声を合わせながら、鞆の浦の細い路地を巡ります。
古い町家が並ぶ道幅の狭い場所では、息を合わせ、慎重に山車を動かします。
その迫力ある姿には、思わず見入ってしまいます。
山車が近づくにつれて太鼓の音が大きくなり、祭りを見守る人々の声も重なって、町全体が賑わいに包まれます。
目の前を通り過ぎる山車の迫力と、間近で響く太鼓の音。
写真だけでは伝えきれない祭りの熱気や臨場感を、ぜひ現地で体感していただきたいと思います。
秋祭りの日におすすめしたい町歩き
チョウサイをご覧になるなら、少し早めに鞆の浦へお越しいただき、祭りが始まる前の町を歩いてみるのもおすすめです。
まずは、常夜燈や雁木のある港周辺へ。
穏やかな瀬戸内海を眺めたあとは、昔ながらの町家が並ぶ路地をゆっくり歩いてみてください。
秋祭りの日には、町のあちらこちらに提灯や飾りが並び、いつもとは少し違った風景に出会えます。
普段の観光ではなかなか見ることのできない、地元の人々の暮らしや町のつながりを身近に感じられます。
夕方から夜にかけては、太鼓の音や掛け声が響き、町の賑わいも一段と増していきます。
港周辺の散策を楽しんだあと、祭りの音を聞きながら町の中へ。
そんなふうに時間に余裕を持って歩いていただくと、秋祭りの日ならではの鞆の浦を、よりゆっくりとお楽しみいただけると思います。
なお、山車の巡行を見学される際は、混雑する場所や狭い路地もありますので、係員の案内に従い、安全に気を付けながらお楽しみください。
鞆の浦秋祭り「チョウサイ」基本情報
- 🗓️ 開催時期 例年9月頃、3日間(金・土・日曜日)
- ⛩️ 開催場所 沼名前神社・鞆の浦町内(当番町周辺)
- 🎉 主な行事 神輿渡御、御旅所祭、還御祭、チョウサイ(山車)の巡行
- 📍 アクセス ホテル鷗風亭から沼名前神社まで徒歩約10~15分
- 🪙 見学料金 無料(町内での一般見学)
※開催日や巡行時間・経路は年によって異なります。お出かけ前に最新の開催情報をご確認ください。
【参考資料】
▷ 福山市「鞆の祭・行事」
▷ 福山市「沼名前神社」
▷ 文化庁 日本遺産ポータルサイト「鞆の浦・秋の熱い三日間(秋祭り・チョウサイ)」
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